不当解雇の解決を弁護士に相談すべき3つの理由

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
不当解雇の解決を弁護士に相談すべき3つの理由

会社を解雇されたが、その理由に納得ができない。いわゆる不当解雇をされた場合、どのように対処すべきでしょうか。また、誰に相談すべきでしょうか。解雇は、会社にとっても最後の手段ですから、ご自身で話合いをしても納得のできる解決は難しいでしょう。そこで、紛争解決のスペシャリストであり、紛争の代理人となることができる弁護士に依頼することが考えられます。以下、不当解雇された場合にどのような解決を目指すべきか、また、それを弁護士に依頼するメリットとともに、弁護士に依頼する際の留意点も合わせて解説します。

不当解雇の解決方針を明確にしよう

不当解雇の解決方針を明確にしよう

例えば、会社に残業代を請求したい、という問題であれば、適正な金額の残業代の支払いを受ける、というように、問題解決のゴールが明確といえます。これに対し、不当解雇をされた場合、そもそもどのような状態になれば解決といえるのか、ゴールをどのように設定するのかが問題となります。これには、大きく分けて下記2つの方針があります。

  1. 解雇を撤回させ、会社に復職すること
  2. 復職しない代わりに、一定額の解決金の支払いを受ける、つまりお金で解決すること

多くのケースでは、解決金の支払いを受ける方針が選択されます。そもそも復職を希望しないという方も少なくありませんが、復職を希望しても、実現は事実上難しいのが通常だからです。復職を求める場合には、裁判の手続が必要になるのが通常ですが、第一審の判決まで1年以上かかることも珍しくありません。そうすると、生活費を確保するため、裁判中に別の会社に就職するなどしなければなりません。無事転職ができたのであれば、あえて元の会社に戻る意味もない、ということになるでしょう。また、裁判で決着が付くころには、元の会社には後任がいたり、環境が変わってしまったりしていて、復職後も元のように仕事をするのが難しいことが多いでしょう。そうすると、復職の方針は事実上選択しがたいといわざるを得ません。

弁護士に依頼するにあたり、以上を踏まえた上で、解決金をとるか、あえて復職を目指すか、ゴールを明確にしておくとスムーズでしょう。

不当解雇の解決を弁護士に相談するメリット

不当解雇の解決を弁護士に相談するメリット

不当解雇の解決を弁護士に依頼するメリットは、

  1. 早期解決
  2. 解決金アップ
  3. 手続のアウトソース

の3つです。以下でそれぞれ解説します。

解決金の支払いを受ける場合、早期解決が期待できる

不当解雇の問題解決の手順として、まずは、解雇が無効であることを記載した「解雇異議通知」を会社に送ります。弁護士が代理して通知した場合は、会社としても真剣に対応しなければならないと考え、他の弁護士に対応を依頼することが多くなります。そうすると、労働者側と会社側で、弁護士同士の話合いが行われるのが通常です。解雇に十分な理由がなく、裁判でも解雇が無効と判断される可能性がある場合には、会社側の弁護士も同じように考えることが多く、裁判になった場合のリスクを会社に説明するため、会社としても解決金の支払いに応じる可能性がより高くなります。

このように、“裁判になった場合、このケースで解雇が無効になるか”という点について、弁護士同士で認識が共有されやすく、また、解決金以外の示談書の条項についてもよりスムーズにまとまるのが通常です。復職を目指す場合には、裁判等をせずに交渉でまとまることはほとんどありませんが、解決金の支払いを受ける場合には、弁護士に依頼することで、交渉による早期解決が期待できるといえます。

解決金の金額のアップが期待できる

解決金の支払いによる解決を目指す場合には、弁護士に依頼することで、支払日を早めるだけでなく、金額のアップも期待できます。裁判になった場合、解雇が有効となるか、無効となるかという見通しだけでなく、ケース毎の事情を検討して、解決金の相場がどれくらいかについても、労働者側・会社側の弁護士同士で認識を共有することになります。そうすると、裁判等をしない交渉の段階ではこれくらいが限度だろう、というラインで落ち着くことになり、それよりも低い金額で示談をするということはなくなります。つまり、足元を見られることなく、最大限の解決金を引き出せることが期待できるというわけです。

裁判等になった場合でも手続の代理をしてもらえる

復職を目指す場合や、会社側の提示する解決金の額にどうしても納得ができない場合には、労働審判や訴訟といった裁判所を使った手続をとることになります。これらの手続きでは、事案によって適切な事実を主張し、それを根拠付けるのに有効な証拠を収集して提出しなければなりませんが、専門性が高く、本人で全て対応するのは極めて困難です。また、裁判所で開かれる期日に毎回出頭し、適切に対応しなければなりません。特に、解雇を争うケースでは、解決に先立って一旦は他の会社で働くことが多く、慣れない職場で仕事をしながら裁判等の手続をこなしていかなければなりませんので、時間的にも労力的にも至難の業であることは想像に難くないと思います。弁護士に依頼することで、これらの手続のほとんどを任せることができます。もちろん、後記のとおり、依頼者本人の協力が不可欠なこともありますが、全て自分でやるのに比べれば、負担は圧倒的に軽くなります。なお、社労士や司法書士といった専門家の中にも労働法に詳しい方はいますが、裁判等の手続で代理ができるのは弁護士に限られています。上記のメリットを考えれば、やはり弁護士に依頼すべきといえます。

不当解雇の解決を弁護士に相談する際の留意点

弁護方針に納得ができるか

不当解雇のケースでは、前記不当解雇の解決方針のとおり、解決金の支払いか、復職かというゴールの設定を明確にしておくことが重要ですが、自分が望む解決方針を弁護士も支持してくれるかどうか、依頼前に確認しておく必要があります。特に、裁判になった場合、解雇が有効と判断される可能性が低くないケースでは、解決金の支払による解決を裁判所から勧められることが少なくありません。このような場合、判決となると解雇が有効とされれば、依頼者は弁護士費用・手続費用等が費用倒れになってしまいますので、弁護士としては、経済的合理性を考えて和解による解決を勧めたくなるのが通常です。しかも、弁護士が完全成功報酬制で依頼を受けていた場合には弁護士にとってもタダ働きとなってしまうため、より強く和解を勧めたくなることもあるでしょう。他方で、依頼者がどうしても復職を望むのであれば、方針について弁護士と意見が対立し、信頼関係を維持できなくなるという事態も生じかねません。そこで、このようなケースでも最後まで復職の希望を通すのか、ある程度柔軟に考えるのかといったことまで想定して、弁護方針に納得した上で依頼をするようにしたいところです。

弁護士費用が明確かつ妥当か

弁護士費用は弁護士がそれぞれ独自に報酬基準を定めており、不当解雇の問題では、着手金ゼロ、完全成功報酬制等、独自のプランを設定している弁護士も多いようです。しかしながら、着手金はゼロとしながら、裁判所への出廷費用や文書作成料等の名目で費用がかかる等、当初想定していないような費用により総額としては割高になってしまう場合もないわけではありません。そこで、弁護士費用として、依頼から事件の解決までに、いつ、どのような費用が、どのタイミングで発生するのか、その金額や割合はどれくらいなのかを相談時に確認し、委任契約でも明確に定められているか、しっかりと確認するようにしたいところです。特に、不当解雇の問題で、復職が実現できた場合の成功報酬については、解決金の支払いと異なり、報酬の基準となる経済的利益をどのように算定するか、明確にしておくことが必要です。例えば、賃金の半年分を経済的利益とするというような定め方が考えられますが、その賃金にボーナスを含めるのかといった問題があります。また、復職後に得た賃金を元手に報酬を支払う場合には、支払時期についても明確に合意しておく必要があるでしょう。

手続の全てを弁護士に任せきりにできる訳ではない

「裁判等になった場合でも手続の代理をしてもらえる」でも述べたとおり、弁護士に依頼したら、後は何もしなくてもよい、という訳ではなく、証拠となる資料を提供したり、事情を説明したりといった協力は不可欠です。また、交渉で解決できない場合ですが、労働審判では、代理人だけでなく、労働者本人の出廷も毎回必要となるのが通常です。また、訴訟の場合には、原則として代理人だけ出廷すれば足りますが、手続が進んで本人尋問を行う期日では、本人が出廷し、証言をしなければなりません。このような期日は平日の日中に開催されますので、特に、不当解雇のケースでは、転職先で有休を使えない間に期日が入ってしまい、日程調整が困難となることもままあります。

このように、弁護士に任せられること、自分でも教職しなければならないことを事前にクリアにした上で方針を決め、依頼することをおすすめします。

まとめ

以上のとおり、不当解雇の問題を解決するためには弁護士に依頼すべきですが、どのように解決したいのか、そのために弁護士は何をしてくれるのか、そのための費用はどれくらいなのかなど、依頼時に確認しておくべきことはたくさんあります。さらに、実際に弁護士と会ってみて、こちらの話を真剣に聞いてくれるか、誠実に対応してくれそうかといった人柄や相性も、案外重要だったりします。

不動解雇の問題は、他の会社で働きながら取り組まなければならないことが多く、ただでさえ忙しくなりますので、弁護士に依頼するという最初のステップで躓くことがないよう、本稿を参考にしていただければと思います。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

不当解雇でお悩みの方へ

  • ・能力不足や成績不良を理由とする解雇
  • ・職場の秩序を乱す規律違反を理由とする解雇
  • ・経営上の必要性(リストラ)を理由とする解雇

といったご相談が近年増えております。

法律上、会社はいつでも自由に労働者を解雇することはできません。解雇が無効と判断された場合には、解雇通知を受けた時点から従業員としての地位が継続していたことになり、解雇通知後も毎月の給与を受け取る権利があったとして、その分の支払いを求めることができます。

日比谷ステーション法律事務所では、お客様の状況に合わせて、不当解雇の手続きを進めることをお約束いたします。不当解雇の経験豊富な弁護士が、初回の法律相談時に、最善の解決策をご提案いたします。

弁護士の無料相談実施中!


03ー5293ー1775

SNSでもご購読できます。