一般の方からすると、弁護士に依頼するのは敷居が高いと感じている方も多いかと思いますが、死亡事故クラスになると、損害賠償金額が莫大になることもあり、逆に弁護士にしか、交渉等を委任することができません。
今回は交通事故で死亡された遺族の方が弁護士に相談すべき理由をまとめました。
目次
慰謝料を増額できる可能性が極めて高い
死亡事故の慰謝料の相場は次の通りです。
お亡くなりになった方 | 自賠責保険基準 | 裁判基準 |
---|---|---|
一家の支柱 | 900~1,300万円 | 2,800万円 |
母親・配偶者 | 900~1,300万円 | 2,400万円 |
独身者 | 900~1,300万円 | 2,000~2,200万円 |
子供 | 900~1,300万円 | 2,000~2,200万円 |
高齢者・老人 | 900~1,300万円 | 2,000~2,200万円 |
弁護士が、加害者側の任意保険会社と交渉する場合には、裁判基準がベースになり、任意保険会社もこの土俵に乗って交渉をしてくれます。
ところが、被害者側に弁護士が付いていない場合には、通常、任意保険会社は、裁判基準よりも低い任意保険基準や自賠責保険基準でしか、交渉に応じてくれません。
死亡事故の慰謝料だけを見ても、裁判基準では2000万円以上が通例ですが、自賠責保険基準では900万円~1300万円となり、2倍程度の開きがあります。このように、被害者側に弁護士が付くだけで、通常、慰謝料だけでも、金額が大幅に増えるのが通例であり、この点だけをもっても弁護士に相談するメリットはあります。
弁護士が関与するか否かによる慰謝料の金額イメージは以下の通りです。
弁護士が手続き・交渉を代行してくれる
弁護士が遺族代理人として、加害者や任意保険会社と交渉をしても、被害者の過失の有無や割合等で争いが生じ、示談がまとまらなければ、どちらの主張が正しいかを裁判所に判断してもらうため、裁判所に訴訟提起することになります。
しかし、民事訴訟は、民事訴訟法・民事訴訟規則・裁判所法等の細かな手続的なルールがあるばかりでなく、提出書面・証拠は、法的に十分に分析・検討されたものでなければ、相手方に揚げ足をとられたり、正確な内容を裁判所に伝えられない可能性もあります。
また、弁護士事務所によっては、大手損害保険会社側で交通事故事案を数多く扱ってきた弁護士をリーダーとして、穴のない慰謝料獲得戦略を敷くことも可能です。
死亡事故は、損害賠償金額も大きいため、少しの手続的なミスが、認定金額に大きく影響する可能性もあります。そのため、一般の方が、このような重要な訴訟を自ら遂行することはあまりオススメできませんし、またそもそも、代理人弁護士がいない場合、毎回、当事者(相続人)全員が裁判には出席しなければなりませんので、事実上、遂行できないことも多いです。
弁護士費用の多くは成功報酬なので持ち出しなく依頼できる
交通事故で死亡した場合に、弁護士に保険会社との交渉を代行してもらう場合、通常かかる費用としては次のものが挙げられます。
- 弁護士への法律相談料
- 着手金
- 成功報酬
1つ1つ解説します。
弁護士への法律相談料
近年では初回の法律相談料を無料としてる弁護士事務所が多く、交通事故で死亡した場合の損害賠償に関する法律相談は通常無料で行っています。
中には時間制で相談料を支払う事務所などもありますのでホームページ等で確認すると良いでしょう。
着手金
弁護士事務所に業務を依頼する際に発生する費用を着手金といいます。
交通事故に関しても着手金は0円としている事務所もあれば、一律の料金を設定している事務所もあります。通常、訴訟に移行する場合は費用がかかりますので一定金額が発生します。
成功報酬
交通事故で死亡した場合に、弁護士が保険会社との交渉を代行し、損害賠償金を増額できた場合のみ弁護士費用が発生する完全成功報酬で取り組んでいる弁護士事務所が多いです。
そのため、損害賠償金を増額できなかった場合は弁護士費用もかかりません。
ただし、完全成功報酬と謳いながら、報酬の詳細を細かく聞くと、「10万円+獲得金額の〇〇%」とか「20万円+獲得金額の〇〇%」となっており、下駄を履いている事があるので要注意です。
通常、この成功報酬が最も多額になりますが、次に説明する弁護士費用特約を活用すると実質負担額がほとんどなくなるケースが多いです。
なお、日比谷ステーション法律事務所では、死亡事故の弁護士費用体系は下記の通りとしています。
(※1)2回目以降は30分ごとに5,000円(税抜)となりますが、受任契約締結後は発生しません。
(※2)訴訟に移行した場合は、訴訟着手金として一律10万円がかかります。
(※3)保険会社の提示額から増額できた場合のみ、弁護士費用がかかります(増額できなかった場合は費用はいただきません)。後払いの完全成功報酬のため、持ち出しはありません(ただし、実費を予納していただく場合はあります)。
弁護士費用特約の活用で費用負担を軽減できる
請求者が加入している保険に、弁護士費用特約が付帯されていることも多く(ただ、請求者が気付いていないケースも多いです)、その場合には、上記の弁護士費用が、通常300万円までは、保険会社が負担してくれます。
弁護士費用特約を利用すれば、弁護士費用が無料になったり大幅に減額できるため、この特約が適用される方は、弁護士に依頼しない手はないと思います。
具体的な計算例と弁護士費用特約の活用は以下の通りです。